お健やかに2022年をお迎えのことと謹んでお慶び申し上げます。
お正月には縁起の良い正月花を飾り、家族揃って元旦を迎えます。
正月花もお節も、その年の流行や、自分の嗜好を少しずつ取り入れ、楽しみながら準備をします。
流行や時代を反映し,少しずつ変わりながらも、お正月には日本人が古来から伝統として守り抜いてきた文化や風習が、至る所で脈々と続いていることに気づかされます。
正月花と言えばまず「門松」。
これは、松が依り代となり、歳神様をお家にお迎えするための目印として立てられたことから始まります。
そして、「門松」と共に「しめ縄」を飾ることも慣習となりました。
もともとは神社において、神域と俗世を区別する境界線として「しめ縄」が張られたことが、一般の家庭でも広がっていきました。
「しめ縄」を飾るという事には【結界を張る】という意味があり、やはり神社と同じように「しめ縄」が神の領域と現世を隔てる【結界】となり、不浄なものが家に入ってこないようにと願い、玄関扉の上に飾られます。
古くからの「しめ縄」には、ウラジロ・ダイダイ・ユズリハなどが使用されます。
それらにはそれぞれに縁起が良いと言われる意味があります。
ウラジロは、葉の裏が白いことから「けがれなき心」を意味しています。また2枚の葉が左右に広がることから「夫婦円満」を表し、ダイダイは、1度実ったダイダイは木から落ちずにいるために、1つの同じ木に何代かのダイダイが実っていることがあり、「ダイダイ実る」という事で「一族の代々の続く繁栄」を意味していると言われています。
ユズリハは、新しい葉が伸びるのを見守るように、古い葉が残り、新しい葉が成長した頃に落葉する様子が、次の世代への世代交代の願いが込められています。
ところが、最近はこの一般的な「しめ縄」に変化が現れ、洋風の生活様式に伴い、また洋風の建物に似合うような和モダンな物が目立つようになりました。
そして、ちょうど海外の人々がクリスマスリースを作るように、12月になるとお花の好きな、またお稽古好きな女性の間で、お家に飾るための自分だけの「しめ縄飾り」作りがブームとなっています。
こちらは、昨年12月の「しめ縄飾り」のレッスンです。
残念ながら古くからの定番のウラジロ・ダイダイ・ユズリハ等を付けることは少なく、代わりに煌びやかな水引や、華やかな色合いのアーティフィシャルフラワーが飾られることが多くなりました。
水引は、「縁起物」として主に贈答品に用いられますが、水引には、「水はすべてを払い清め、その水が引いた後には、穢れが洗い流されて清らかになる」と言うことから水引と呼ばれます。そして、その清らかな物を贈ることで、人との結びつけを尊ぶ意味合いや、硬く結ばれるという意味があります。本来ならお正月には紅白、金、銀の水引を付けるのですが、やはり洋風の建物に合わせて、また自分の好みに合わせて、ピンク、グリーン、パープルなどの水引も人気です。また結び方は結び切りを使用します。
これには神様のお迎えやお供えをするものに使うので、「真新しいものです」という意味になります。その他、人気の飾りは末広扇。家が末広がりに栄えていくようにの願いが込められています。また、金や銀にペイントされた稲穂も人気です。
黄金色に実った稲は、稲作文化の日本の命の源であり、豊作になりますようにとの願いが込められています。
以前の「しめ縄」とはだいぶ変わってきましたが、コロナの影響もあり、家で過ごす時間が多くなったことから、
手作りする方が増えてきているのは喜ばしいことです。
お正月に用いられる花や飾りの意味を知りながら作ると、ますます歳神様をお迎えするお正月準備が楽しくなりますね。
それでは、門松やしめ縄などのお正月飾りはいつ飾って、いつ外すのでしょうか?
一般的にはお正月花を飾るのは12月28日までと言われ、
29日は、その発音が「二重苦」となるため縁起が悪いと言われています。
大みそかである31日に飾ることを「一夜飾り」と呼び、これもまた縁起が悪いとされています。
28日までに飾ることができなかった場合は、30日に飾るのが良いでしょう。
そして、お正月飾りは「松の内」といわれる1月7日まで飾ったままにし、外した正月飾りは、近くの神社へ納めるのが理想ですが、それが出来ない場合は、紙などに包んでから捨てるようにします。
新しい年、今年の抱負は決まりましたか?
素敵な一年になりますように・・・
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