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森パメラさん×『大人のおしゃれ手帖』西山編集長のスペシャル対談「サステナビリティを目指すための、最初の一歩とは」
FEATURE
森パメラさん×『大人のおしゃれ手帖』西山編集長のスペシャル対談「サステナビリティを目指すための、最初の一歩とは」
2020.10.07

自然体な姿が美しく、ポジティブなエネルギーを放つ森パメラさん。今回は、「サステナブルな暮らし」をテーマに、『大人のおしゃれ手帖』編集長・西山千香子さんと対談していただきました。日常とおしゃれと暮らしを大切にしている女性に寄り添った企画が人気の『大人のおしゃれ手帖』。“楽しい”“心地いい”をベースにしながらも、今国際的に課題とされている環境問題をどうライフスタイルに取り入れていけばいいのか?そんなことを中心に、お話いただきました。

毎日少しずつ、「できることから」でいい

西山千香子編集長(以下西山):本日はよろしくお願いします。

 

森パメラ(以下パメラ):よろしくお願いします!今日は環境問題をテーマにお話する予定なんですが、『大人のおしゃれ手帖』8月号の付録、エコバッグでしたよね。私も車で移動する時によく使っているんですが、とっても便利です。Great! 

 

西山:ありがとうございます!ちょうど今年7月からレジ袋の有料化が始まりましたが、そのタイミングだったのでとても好評でした。この付録はレジかごにセットできる大きさと、B5サイズのスクエア型のエコバッグの2個で、どちらもたっぷり収納もできるように。とにかく使いやすさにはこだわりました。特に家庭を持つ女性は毎日のように買い物をする方が多いので、日常的に使いますよね。見た目も大事ですが、使い勝手も本当に大切です。

 

パメラ:でも、見た目もおしゃれだからいいわね!使いたくなります。

 

西山:嬉しいです。今までは付録もバッグやポーチが主流だったんですけど、今は外に出る機会が劇的に減ったので、収納アイテムなど家のなかで使うものにシフトしてきていますね。あとは環境の変化によって必要とされているもの。たとえば猛暑が続いているので接触冷感のタオルとか、晴雨兼用のコンパクトな傘も考えています。

 

パメラ:傘、すごくいいですね!ぜひやってほしいです。ここ数年、ゲリラ豪雨も多いでしょう?持ち運びがしやすい傘がいいですね。さっきまで晴れていたのに急に強い雨が降り出したり、日本の気候が本当におかしい! 

 

西山:本当にここ数年、体感でわかるような変化がありましたよね。まず何をすればいいのかわからないという人もいらっしゃると思うんです。でも以前、企画で環境問題の取材をした時に、専門家の方が「日本の消費は家計が占める割合が大きい」とおっしゃっていたんです。会社が使うお金、遊びに使うお金よりも家計の消費のほうが大きいということは、家計を預かる私たち世代(40〜50代)の女性が、家庭で使うものをちょっと変えるだけでだいぶ変わる、ということですよね。女性たちが買い物をする時に、同じアイテムでも環境にいい方を選んだり、毎日の選択を変えていけば環境にもいい影響をもたらすんじゃないかと。

 


パメラ:そうかもしれない。正直、私は今までエコに対して意識がないタイプだったの。でも娘たちがとても意識が高いので、いろんなことを教えてもらいました。カフェにお茶しにいくときも、ステンレスや紙のストローを使用しているところや、マイボトルにコーヒーを入れてもらえるお店を選んだり。今は新型コロナウイルスの影響で、マイボトル使用も難しいけどね。

 

西山:私も、そこまで気にしてないほうでした。今の若い方のほうが関心が高いですよね。ペットボトルのラベルをきちんと全部はがすようになったのもここ数年です。でも一度やりだすと、むしろラベルがはがれていないペットボトルが混じっていたりするとすごく目立つから気になりますよね(笑)。だから全部できるようになる。段々そんな風に、習慣づけていけばよいんじゃないかとは、思います。

 

パメラ:わかります(笑)。私もマメな方ではないんですけど、ペットボトルのラベルはがされてないのを見つけると、なんだか気持ち悪い〜!ってなっちゃう。あとはどんなことをご自身ではされていますか?



西山:洗濯や掃除に使用する洗剤は、環境にやさしいものを選ぶようにはしています。これらも毎日のように使うので、みんなが変えればかなり影響があるんじゃないでしょうか。あと、玄関の電気をこまめに消したり(笑)。シャンプーしている時にシャワーを出しっぱなしにしないとか……。そのあたりは親から口すっぱく言われてきた年代なので、当たり前といえば当たり前なのですが。

 

パメラ:素晴らしいです。でもレジ袋もようやく有料化されましたけど、「もっと高くすればいいのに〜!」と思ったりもしました。みんながマイバッグ持ってくればよい話。でも、なかなか難しいんでしょうね。

 

西山:日本は丁寧なサービスに慣れてしまっていますから。ラッピングもそうだし、お箸もつけて、スプーンもつけて、温めて……と、すべておもてなしの精神なので素敵な文化なのですが、それもいきすぎてしまうと環境に負荷がかかるわけですよね。なので、みんなが「そこまでしなくても大丈夫」という考え方になれば、不愉快にもならないし、むしろ気持ちよく買い物ができるんじゃないでしょうか。


小さな継続が、大きな変化に繋がる

パメラ:ファッションに関してはどうですか?

 

西山:やっぱりオーガニックコットンとか、生地に関しては意識が少しずつ高まってますよね。

 

パメラ:肌心地も違いますよね。ポリエステル素材より断然気持ちがいい。

 

西山:自分が気持ちいい、心地いいものを選ぶのが一番ですよね。でもたとえポリエステル素材でも、リサイクルポリエステルがあったり、合成繊維でもリサイクルから生まれているものもありますよね。だからそういうものから買う、というのもひとつの選択なのかなと。とはいえ値段だけで買っちゃったり、ただ可愛いから着たい!ということも、あるんですけどね。




パメラ:バランスじゃないかしら?いきなり全部ちゃんとする!なんてとっても難しい。気持ちが疲れちゃう。

 

西山:完璧なものなんて、ないですしね。すべて陰と陽があるというか、なんでも矛盾は生じてくると思うんです。たとえば動物愛護の視点で見るとフェイクファーがいいとなるけど、でも環境という面では化学繊維はいいの?ということになる。だからきっと状況や時代によってとか、いろいろやっていくうちにチェンジもしますよね。あまり固執しないで、暮らしをその流れの中で、しなやかにシフトしていけばいいと思います。

 

パメラ:ヴィーガンとか、食べ物もそうよね。娘がヴィーガンスイーツを作ったといってSNSで発信をしたら、そのスイーツははちみつを使っていたみたいなの。「はちみつはヴィーガンじゃない!」と言われたみたいで。もちろん、厳密にいえばそうだし正しいんだけど、細かいところを指摘しあっていたらキリがない。

 

西山:みんなライフスタイルも環境も、考え方も違いますからね。

 

パメラ:何事も続けていくことが大事よね。

 


西山:そうですね。少しでもいいから継続するほうが大切なのかなと。日常的にこういう会話をすることが、続けられるコツのような気もします。

 

パメラ:今日もお話できたことで、意識が高まりました!

 

西山:雑誌の役目としても、そんな会話や考えるきっかけになる企画を組んでいけたらと思っています。9月発売号でも、「ゴミを出さない暮らし」という特集を予定しているんですよ。

 

パメラ:わあ、とても楽しみ。早く読みたい!

 

西山:たとえばプラスチックのトレイってなかなか減らせないですよね。そういったゴミをどうすればいいのかとか。どうすればゴミ=いらないものに分類しなくてすむようになるのか……。そんなアイディアをお届けしたいと思っています。

 

パメラ:日本は量り売りのお店も少ないですよね。タッパーを持って行けばOKな店がもっと増えてほしいです。

 

西山:スーパーは難しくても、個人の店でやれるようになるといいですよね。マイ容器を持っていって詰めてもらう時の、ちょっとしたやりとりも楽しそう。パメラさんはご自宅で工夫されていることはありますか?

 

パメラ:私は、ハーブを育てているのでコンポストがあるんです。バナナの皮や卵の殻とか、ぽんぽん入れるだけで肥料になる。生ゴミも減りますし、おすすめですよ。今はいろんな種類や大きさのコンポストがありますよね。もともと土いじりが好きなので、楽しいです。

 

西山:コンポスト、いいですね! 最近家でハーブを育て始めたので。ハーブもお店で買うとちょこっとしか入ってないのにプラスチックの容器がついてくるじゃないですか。あれもすぐゴミになるしもったいないですよね。

 

パメラ:ハーブは自分で育てるのが一番!私もいろいろ育てているんですが、こないだ孫が遊びにきた時、庭からミントを摘んできて、ミントのお風呂に入れてあげたの。そんな使い方だってできちゃう。

 

西山:とてもいいですね。ハーブは食べるだけじゃなくて、いろんな用途に使えるからいいですよね。自然にやさしくて、お金もそんなにかからず、育てる楽しみも増える。

 

パメラ:ぜひ、企画にしてください(笑)。

 

西山:はい(笑)。付録もそうですが、今はおしゃれのためじゃない、日常や環境のことも考えられた特集が人気がありますよね。もともと『大人のおしゃれ手帖』では、昨年より今年のほうがちょっとでも楽しいとか幸せ、と思えるような暮らしができるように、“日常をちょっと楽しくするようなコツ”をお伝えすることを目指しています。365日のうち、ハレの日より、普通の日のほうが圧倒的に多いわけじゃないですか。すごく特別なこととはではなくて、ほんの少しのアイディアや努力でいい。なのでなるべく読者の方のライフスタイルに寄り添ったファッションや日常的なことやものを、届けていきたいですね。

 

パメラ:とても素敵! 毎年ハッピーでいられるわね。

 

西山:そうなんです。でもずっとポジティブでいるにはパワーも必要。だから無理に前向きになろうとしなくても、そんな時は少し休んでもいいし。

 

パメラ:私の場合は、休むことよりお酒を飲むことかしら(笑)。

 

西山:(笑)。とてもいいと思います。みなさんも、自分の“心地いい”をぜひ大切にしていただきたいです!




(PROFILE)
●Pamela Mori

森パメラ

 

アメリカ・カリフォルニア州生まれ。1975年(17歳)のときにショーに出演するために来日。20歳で森顯(あきら)氏と結婚し、5人の母に。

 <<着用商品>>
グラフチェックのロングシャツ 75,900(税込)
ジョーゼットのパンツ 29,700(税込)
ピオニーのスカーフ 22,000(税込)

 ●Chikako Nishiyama

西山千香子

 

JRAを経て、2000年に宝島社へ入社。書籍・ムックなどを手がけ、2008年より『リンネル』『リンネルHome』などシリーズ14誌をムックで刊行。2010年『リンネル』月刊化と同時に編集長に就任。『リンネル』と『大人のおしゃれ手帖』編集長を兼任。

 

Photo:中田陽子〈MAETICCO〉 Text:Sonomi Takeo





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