特集 SALE

新規会員登録で割引クーポンプレゼント中会員登録はこちら ▶

0

  1. バッグのなかの児童書

特集

バッグのなかの児童書
家族/暮らしのおくりもの
バッグのなかの児童書
2018.09.03

ここ2、3年だろうか。70代後半になる母が、小学生の孫の本棚を図書館代わりにして、児童書を借りていっては熱心に読んでいる。最初はわたしに「最近読んだ本でおもしろかったのを何か貸して」とリクエストしてきたので、本棚から本を選んでいたら、娘が自分の本もおばあちゃんに貸したいとはりきり、1、2冊混ぜて渡したところ、母はおまけだった児童書のほうにすっかりはまってしまったのだ。「字が大きいから目も疲れないし、名作とされているのにちゃんと読んだことがなかった本をこの年になって読むと、なぜこれほど長い年月に渡って読み継がれてきたのかがよくわかる」という。

 

 

 

わたしはというと、仕事柄つねに本は読んでいるものの、「読まなくてはいけない資料」としての本も多くて、世界的な名作なのに実は読んでない作品や、昔読んで夢中になり、今また読み返したい児童文学が本棚でずっとスタンバイしているというのに、なかなかそれを読める状況までたどりつけない。そうした本を母が着々と読みつぶしていき、その都度とてもおもしろかったという感想が届けられると、なんともうらやましかったり、ちょっと焦ったり。でも別の角度から考えてみれば、その本たちはわたしが母の年齢になったときに手にしてもおもしろく読めるということを、母がいま証明してくれているのだ。

 

 

 

 

時間がいっぱいある子どもを読者に想定して書かれた物語なのだから、時間に追われながら読むより、この先もっと年齢を重ねて、気持ちにゆとりをもって暮らせる身になってからのほうが、その世界へ自然に入っていけることだろう。60代までは会社に勤めて忙しく働いていた母が、今こうして児童書に夢中になる背景には、作品への純粋な興味や感動のほかに、そうした時間的余裕を自分がもてるようになったという感慨や、本をはさんで孫といきいきと会話できる喜びも含まれている気がする。

 

 

 

 

使いやすそうな母のバッグから、美しい装丁のハードカバーの児童書がちらっとのぞくと、穏やかで心豊かな毎日が送れているんだなと、娘としては安心するし、ちょっとうれしくなる。だからわたし自身にはそれを読む時間はまだまだしばらく訪れないとわかりつつも、現在の母と、数年後の娘がきっと喜びそうな児童文学の単行本を見つけると、つい買ってしまうのだ。

 


掲載商品は下記リンクより詳細をご覧いただけます。

本を入れたショルダーバッグ「ソニア 2WAYショルダー大」
シルクのロングスカーフ「ペイズリーフラワー シルクローンロングスカーフ」
・二つ折りのコンパクトなお財布(9/初旬入荷予定)
バッグインポーチの付いた肩掛けトート「スイング ポーチ付トートバッグ」
バッグインポーチの付いたハンドバッグ「スイング ポーチ付ハンドバッグ」


 

おがわ・なお/1972年生まれ。文筆家、編集者。
10月発売の最新刊は『メルボルン案内 たとえば、こんな歩きかた』(パイ インターナショナル刊)。その他の著書に『心地よさのありか』(同社刊)、『家がおしえてくれること』(KADOKAWA)、『おしゃれと人生。』(筑摩書房)、『こころに残る家族の旅』(京阪神エルマガジン社)、また夫でイラストレーターの小池高弘との共作で自費出版した『skech 1』『sketch 2』『Table Talk』がある。ウェブサイト「Table Talk」で日々綴っているブログにも熱心なファンが多い。

カテゴリー