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特集

春財布
家族/暮らしのおくりもの
春財布
2018.02.01




暦の上での季節を、もっとも体で感じにくいのが、二月かもしれない。
二月四日が立春といっても、体感としては寒さがもっともこたえる時季。でも、我が家の庭にあるしだれ梅の木は、遠目には丸はだかに見えても、近づいてみれば枝一本一本に無数のつぼみがつき、そのひとつひとつがぷっくりとふくらんでいる。それを見て、たしかに春はそこまできているとおしえられるのも、毎年のことだ。









昼間の縁側も、天気と時間帯によっては汗ばむくらいにあたたかい。梅の見頃は、2月の年と、3月に入ってからの年があるが、今年はいつごろ満開になるだろうか。
このあいだ実家に帰って、母と、そんな他愛もない話をしていたときのこと。ふと、母が手元のバッグから取り出した財布が、少しくたびれて見えたのが気になった。「ねぇ、ちょうど春だし、お財布を新しくしてみたらどう?」









わたしはもうすっかりなじみを持っていた「春財布」という言葉に、母は「はじめて聞いたわ」と目を丸くした。
はるざいふ。「春」と「張る」をひっかけて、春に新調する財布は張る=中身がふくらむ、金運がいい、といわれている。ちなみに3月12日も「さいふの日」なのだとか。
いま母が使っている財布は、ダークネイビー。もうひとりの母、つまり夫の母の財布も、そういえば地味なブラウンだったように記憶している。
40代後半というわたしの世代にとって、財布の色といえば、風水を参考に黄色や、またはゴールドやシルバーといった光り物を選ぶと縁起がよいというイメージがある。でも母の世代は違うのだ。財布の色は、飽きがこなくて汚れが目立たない色がいい、という考え方。
だからこそ、新しい色への挑戦もふくめて、春財布というものを母はひとつのイベントとしておもしろがり、少しはしゃいでいるようにも見えた。









もうひとつ、普段は買い物やゴルフなど車で移動することが多い母に、以前からすすめたかったものが、ポシェットタイプの財布。携帯電話と鍵などが入れられるポケットがついた長財布に、ショルダーストラップがついた、小粋なミニバッグのようなデザイン。
これならば貴重品は肩からかけておき、空いた両手でショッピングバッグやゴルフ道具を持てる。シルバーの光沢がおさえめなので上品な印象だし、カジュアルな服にもシックな服にも合いそうだ。









気持ちも姿も実年齢より若く見えるとはいえ、母も七十代後半だ。この「春財布」のように、わたしが知っていて母は知らない、ちょっとしたトピックは、きっとほかにもあるのだろう。それをおくりものといっしょにおしえることで、母の心が少し浮き立ち、その毎日に新しい風がそっと吹き込んでくれたら、娘としてはうれしい。これから母へのおくりものを考えるときは、そのことをひとつの選択基準として、意識してみようと思う。

掲載商品


 

サラ 内BOX二つ折り財布 (手に持ったお財布) 
・サラ 内L字ファスナー付長財布 (集合した写真)
・首元に纏ったシルクのロングスカーフ(2月中頃入荷予定)
・シルバーのマルチウォレット(2/20頃入荷予定)
・キルティングの2WAYショルダーバッグ(3/中頃入荷予定) 


 

おがわ・なお/1972年生まれ。文筆家、編集者。
著書に『心地よさのありか』(パイ インターナショナル)、『こころに残る 家族の旅』(京阪神エルマガジン社)、『家がおしえてくれること』(KADOKAWA)、『おしゃれと人生。』(筑摩書房)などがある。暮らし、旅、ファッション、インテリアなどをテーマに執筆と出版物の制作を行い、自身のウェブサイト「Table Talk」で日々綴っているブログにも熱心なファンが多い。夫でイラストレーターの小池高弘との共著による自主制作イラストエッセイ集『sketch 1、2』ほか、2018年秋にも新刊を出版予定。

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